田丸神父のブログ 聖書エッセイ

田丸神父の聖書エッセイです。

天使と羊飼い

天使と羊飼い

2:8 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。 2:9 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。2:10 天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。2:11 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。(ルカ2・8-11)

主の降誕、クリスマスの出来事は、静かな星の輝く晩に起こった出来事です。皆が寝静まっている中、目立たず、静かに神の独り子はお生まれになります。神は独り子をこの世に誕生させられるとき、目立つ方法を望まれませんでした。目立たない、でも静けさと沈黙の中で、神のあたたかい救いの業は始められます。静かに、密かにこの世に誕生された救い主の誕生を天使たちが最初に告げたのは羊飼いたちでした。危険や厳しい環境の中で、素朴にそして皆で寄り添って生活している羊飼いたちに「恐れることのない民全体に与えられる大きな喜び」が告げられます。そして羊飼いたちは、天使の言葉に従い、星の導きに従って馬小屋を訪ねます。羊飼いたちはそこを訪ねた人、近づいた人にしかわからない本当の光とその幼子の持つぬくもりを感じたのではないでしょうか。

神はご自分の独り子をこの世を照らす真の光として私たちのもとに送ることを決意されます。私たちが立派だからとかうまくいっているからではなく、光を失い、闇の中をただよい倒れている私たちだからこそ、ご自分の子を光として送ってくださったのです。私たちに大切なことは、静かに見つめることだと思います。自分の弱さも足りなさもそして自分が抱えている闇も。同時にイエス様がそのような私たちだからこそ、もたらそうとしてくださるあたたかな光を。クリスマスの出来事は2千年前だけではなく、今も私たちの心の中に起こっている出来事であることを思いたいです。